強迫性狂愛
「…別に、悪い意味じゃねぇぞ」

「うん?」


目の前に座る海斗の存在を思い出して顔を向けると


「百花は、百花って言ってんだよ」

「私は、私?」

「だろ?柚は、柚。百花は百花でいいんだから、気にしても仕方ねぇんだよ」

「……海斗」


思わず、ほっ…と体の力が抜けた。

そっか、遠まわしに『柚香のことは気にするな』って言ってくれたんだね。


「ありがと。海斗」

「ちんちんくりんは、そうやってえくぼつけたまま笑ってりゃいいんだよ」

「なに?それ…えくぼってなによー」


海斗はいつも、タイミングよく私の心をほぐしてくれる。

それは、ものすごくありがたくて、嬉しくて…だから私は気付かなかった。

海斗と笑い合っている私の姿を紅が、せつない思いで見つめていることなんて……自分のことに精一杯な私は気付きもしなかった。

< 343 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop