強迫性狂愛
「また、逃げんのかよっ!」


「逃げてないっ、そうするしかなかった……」


「………」


「……っ、わかるっ?一番わかって欲しい人に突き放された時の気持ち…っ!教室に戻るからっ、はな…」


「俺だって、辛かった。由香里が、前みたいに俺に笑ってくれなくて……寂しかった」


「やめてよ…」


「どうしたら、元に戻れる?」


「……れない…」


「俺は、戻りたい…!」


「やめ…っ」



紅の涙が零れたと同時に――…海斗は強く紅を抱きしめていた。



「ずっと、こうしたかった……」



絞り出すような声に、紅は耐え切れず大粒の涙を零した。



「ずっと――…お前と向き合わなくて……ごめんな」


「……っか…」


「ごめん…、由香里」


「ばかぁ……っ!!」



4年分の温もりを確かめ合うかのように――…2人は、強く抱きしめ合ったのだった。
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