強迫性狂愛
「ん?あぁ…まぁ。仕方ねぇんじゃねぇの?昔から決まってたことだしな」


「でも、百花は…」



保健室のベッドで、後ろから海斗に抱きしめれる格好のまま、紅は、そっと胸の前で組まれる4年前よりも男らしくなった手に、自分の手を重ねた。



「百花は?そういや、体調悪かったのか?」


「うん、顔色もちょっと悪かったし、何よりも黒澤様と柚香のことがショックなんだと思う」


「まぁ、…そうだよな」


「黒澤様、百花ことどうするつもりなの?」



少しだけ、顔を後ろに向けた。



「どうするって、このまま一緒にいるつもりじゃねぇの?あいつ、百花のこと気に入ってるし」


「柚香と結婚するのに?」


「まぁ、俺だったらさ、柚香なんかとはぜってぇ一緒にはならないけど、迅だって何か考えがあるじゃねぇ?」


「そうだといいのだけど…」


「それよりさ、久しぶりに由佳里の作ったアップルパイ食いたい」


「えぇ?いやよ」


「なんでだよ。ほら、帰るぞ。百花も帰ってるんだから、おやつに一緒に食べようぜ」


「…もう、仕方ないわね」



嫌々そうな言葉を口にしながらも、しっかりと手を繋いだまま――…2人は教室へと戻っていった。
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