地下世界の謀略





元々、地下世界の存在は政府の機密事項だった。


いつ発見されたのかも定かでなく、皆何処からか流れた噂によって地下世界を知るものも少なくはない。──ただ、暗黙の了解のように促されているとすれば、地下世界に「楽園」はないということ。


地下に"堕ちる"者は余程の凶悪犯か、誰かにとって"都合の悪かった"人間。
───廃れた(地下)世界で育つ人間に、ろくなものはいないと何度教え込まれてきただろう。




"地上にいるものこそが全て"


政府は地下世界の存在が公になって以来、それを掲げて、地下世界を深く知ろうとし、関わろうとしたものには罪を下し始めた。


───その理由を知るものは、果たしているのだろうか。












「お前達地上の人間は…どうせ俺達を塵にしか思ってねえんだろうな」


私が知っている地下世界は、罪を抱えた者だけが堕とされる悪く言えば、牢獄。

だが目の前の青年を見て、私は不覚にも政府の行ってきた断罪を酷く拒絶したくなった。


(謎が多すぎるのだ。どちらの世界も)





「…それ」

「あ?」

「銃。本物なの…?」


指差した私に青年は怪訝そうに頷いた。


「がらくたなんか、クソの役にも立つか」

「どうして?」

「無きゃ死ぬ」

「どうして?」

「………はあ、アンタそればっかだな」


大きくため息をついた青年は銃を片手にとり佇む私に近づくと、それを、私の胸に押し当てた。


(驚くほどに冷たい、それ)



< 12 / 111 >

この作品をシェア

pagetop