地下世界の謀略





「ろくなもんじゃない」


渋々とアルトの口から厳しく語られたそれは、真実だろう。



───地下世界の発見で多くの常識が一変する。


自分達地上の人間が知り得ない文明と技術。

まだ技術的には格下をいくが、それでも大分食い違っている常識が人間がいたこと。


それが政府の人間達の間で偏見を生んだのだから、冷淡な待遇を受けることは必然的だった。



「簡単に言えば塵処理機関さ。」

「塵処理?」

「そ。昨日言っただろ?俺らのこと塵にしか思ってないって。…奴等は、ある日突然現れて自治を保つだの何だの抜かして来やがった」



どよめく人々を他所に政府、軍隊を携えた一人の人間が自分達は"最高の国家機関"だと言い散らした。

機関の目的は、二つの世界の均衡を保つこと。しかしそんな言葉に、地下世界は政府の興味に値する研究対象だという思惑が裏付けられている。



「保安だとか言いながら実際遣ってるのは地下を徘徊して、その度に見つけた人間を捕える」

「…捕まえられた人間は?」

「人体実験が主だな。何を基準にしてるのかしんねえけど俺の知ってる奴等だけでも数えきれないくらい捕まった」


仕事中だったり、出歩いていたり、時には目の前で捕らえられた奴等。
地上でいう車から出てきた四人の人間によって瞬く間に連行されていくのだ。


そのせいか、次は自分だと怯える者が続出した。



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