プレイボーイ×天然な幼なじみ



 蓮が梨桜の頭を撫でた。

 なんで梨桜は蓮のことが好きなんだろ…。でも、梨桜が蓮のことを好きならば、梨桜が学級委員に立候補した理由もわかるような気がした。

 ――と、俺はサポーターを忘れたことに気付いた。

 昨日洗濯して、そのまま忘れてしまった。

 どうしよう、この間の練習で足を捻ったから、サポーターがないとだいぶきつい。

 急に右足に痛みが走った。

 こんなんで、体育祭で勝てるのか…?

「龍太」名前を呼ばれて振り向くと、梨桜がいた。「これ、使って?」

 俺は、梨桜に差し出されたサポーターを受け取った。

「ありがと」

 関わらないで、そう言ったのは梨桜だった。その梨桜が、声をかけてくれた。それが嬉しかった。

 今、「関わるなって言ったくせに」そう言ったら、間違いなく二度と口を利いてもらえなくなる。

 だから俺は、前のことは口にしなかった。


< 142 / 338 >

この作品をシェア

pagetop