愛シテアゲル

13.龍の子は、小鳥じゃない。(1)



 顧客の車を煽って自損を誘い、小鳥の愛車であるMR2に正面衝突、龍星轟従業員、慎(マコト)のNSXにも体当たり。

 そこまでの奇行を重ねてきた白いランサーエボリューションXが、黒い龍と言われている英児父のスカイラインに遭遇すると恐れおののいて逃げていこうとしている。

「今度は俺が絶対に逃がさない」

 それは全て『知り合いだった翔が原因』だったと判り、彼の目が冷たくも燃えている。
 小鳥は黙って、彼の隣にいる。気持ちだけ寄り添い、彼と一緒にここにいる。

 足早に逃げていこうとしたランサーエボリューションの背後を捕らえた。

 もうすぐ頂上、ダム湖の駐車場。カーブはあとひとつ。

 MR2のエンジン音がひときわ高く唸ると、ついに翔が反対車線に出る。さらにスピードをあげ、ぐんぐんと白いランエボに追いつき横に並ぼうとしている。


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