愛シテアゲル

   龍の子は、小鳥じゃない。(2)



「瀬戸田……!」

 ひと息ついている小鳥とは別に、翔はもう次の行動にうつっていた。手早くシートベルトを外すと、心配そうな顔で運転席を下りていってしまった。

 ――瀬戸田、大丈夫か。

 あんなヤツなのに。少し前がへこんだだけなのに。それでも急いでランエボの運転席へと駆けていく。

 少し呆れながら小鳥も急いで助手席から降りた。

 駐車場の真ん中には、黒いスカイラインと赤いCR-Xが並んでいる。そこから英児父と武ちゃんがこちらに向かってくる姿も見えた。

 小鳥、大丈夫か! 父の声が届き、小鳥は大丈夫と手を振った。その姿にホッとした顔、そして娘へと英児父が駆けてくる姿に小鳥もなんだか急に泣きたい気持ちになってくる。

「――んのやろうっ!」
「やめろ、瀬戸田! 放せっ」

 安堵も束の間、翔がランエボの運転席から飛び出してきたネクタイの男に胸ぐらを掴まれ、白い車体に押し付けられている。


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