愛シテアゲル
「少し早いけれど『花見イベント』の計画を立てておこうか」
カントリーレストランでお茶を挟んで向かい合う国大生の彼と、待ち合わせた本題はそれだった。
「そうですね。開花はいつかもうわかるかな」
「調べてみよう」
さらに宮本先輩が持っていた鞄から、タブレット端末をさっと取り出して手際よく検索する。
「例年通りみたいだな」
「三月末から四月の初めですね。では、そのころに狙いを定めて……」
スケジュール帳に予定を書き込みながら、話し合いを進めた。
小鳥のスケジュール帳はこうして常にいっぱい。真っ白な日なんて一日としてない。
近ごろは自宅にいる時間の方が短い。夜帰ってきて寝るだけと言っても過言ではない。
だけれど、忙しい両親には一日の始めと終わりぐらいは顔を見せておきたい。そしてそれは小鳥も同じ。自分もそれだけで、どこか安心して外に飛び出していける。
それをひしと感じるようになったのは、車に乗るようになってから。
あの車バカな親父さんが、娘の愛車まで、これまた娘のように手入れをして送り出してくれるようになってから、強く感じるようになった。