もう春は来ない


「クラスメイトが亡くなったんだ。それを誰かのせいにするんじゃない。先生は今から山下の所に行ってくる。今日は自習だ」


 担任は、今日もキミをココに置き去りにした。


 静まり帰った教室に、キミと一緒に置き去りにされた僕らは、

 それでも、誰も席を立たなくて。


 誰も席を立てなくて。




『死ねば?』




 キミの机に大きく落書きされた、ソノ文字を、ずっと、ずっと見つめるしかできなくて。



 そして僕は、


 その時僕は……。



――昨日、あんな話で笑ってたからだ。志村拓哉さん、スミマセンデシタ……。





 色を失った窓の外の景色を眺め、とりあえずそう呟いた。



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