厄介な好奇心
 おっちゃんは、暫く腕時計を見つめていたが、それが終わると唐突に話し掛けてきた。 

「気分はどうですか?」

 気分?気分は良いのか悪いのかは分からないが、どうやら僕は病室で寝かされている状況にあるということだけは察することが出来てきた。 

「あのう・・・・」

「はい?何ですか?どこか痛むところでもあるんですか?」

 いや、僕はまだ何も言ってない。ただ単に「あのう」と言っただけだ。だが、分かった事が一つだけある。どうやらこのおっちゃんは、とにかくせわしい男らしい。

では、単刀直入に聞くことにしよう。

「僕は、どうしてここに寝かされているんですか?」 
 
 おっちゃんは困惑の顔になった。 

「気分が悪くないのですよね?それに痛むところも無い?」

 何だか噛み合いそうもない奴だ。 

 仕方なしに「はい、特には」と答えると、おっちゃんはニコニコしながら傍らに立つ女性にこう言った。 

「特に問題も無いし、大丈夫みたいだね。ただ、暫く様子は見ることになるから、君、後はお願いね」



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