瞳の向こうへ
二人で失った時間を取り戻すかのようにお互いの近況などを話してると扉をノックする音が。

「お二人楽しそうね。秘密の会話?」

看護師さんが検診に部屋を訪れた。

「秘密の会話です」

「そのようですね」

看護師さんは私たち二人を見比べ体温計を加奈子ちゃんに渡した。

「お二人の表情見てたらホンマ秘密の会話のようですね」

「よくわかりましたね」

「私の自慢できる特殊能力です」

ツボにはまり大笑い。

「体温測れないじゃないですか」

「では、今度から笑わんといてね」

「困ったもんだ〜」

何とか無事に乗りきったのでもう先生としての理性はほぼありません。

私は前に進み出した。

光が差す方向へ歩み出した。

あとは、私の今大事な教え子に託します。

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