瞳の向こうへ
声にもならない声を出して潤子先生に抗議をした。

『あなたに止める権利がありますか?最低限の義務も果たさず、ただ文句言ってる人間の言うことを誰が聞きます?葵さんに彼女を会わせたくないのなら、自分でどうにかしなさい。これ以上学校のヒーローに何も言わない。甲子園で負けたら先生を恨んでください』

…………クソ!!

悔しさのあまりせんべいを叩きつけた。

これだけ言われてショックだ。

『せんべいもう一枚あったから食べて』

潤子先生はポケットからもう一枚せんべいを取り出し、俺のズボンのポケットに入れた。

俺は潤子先生の後ろ姿をただ呆然と見つめた。

< 148 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop