身勝手な恋情【完結】

そっかぁ……娘さん。


娘――

脳裏に浮かぶのは、可憐さんの悲しげな顔。

そして蓮さん――



胸の奥がキリキリと痛くなる。



「あの……」

「ん?」

「娘さん、やっぱり可愛い、ですか……」

「え?」



戸惑う立花さんの声に、ハッと我を取り戻す。



「わ……わたし、」



なに言ってるんだろう……。


早く謝らなきゃって思うのに

頭が真っ白になる。



「君」

「ごめ、んな、さ……」



だけどもう限界だった。


一度緩んでしまった涙腺はあっけなく崩壊して――

ズキリと痛む胸を押さえながら、その場に崩れる。




< 246 / 469 >

この作品をシェア

pagetop