身勝手な恋情【完結】

なんとかやる気を絞り出して一日の仕事を終え、デスクの上を片づけていたら蓮さんがふらりと帰ってきた。


れ、蓮さん……!


一瞬動きが停止する。


とそこで、蓮さんはスタスタと私のほうへと向かってきて、

「ここで待ってて」

と無表情でささやいた。



「は、はいっ……!」



なんだか意味がわからないままも、こくこくとうなずく私。

そして蓮さんはくるりと私に背を向け、社長室へと入っていく。



蓮さん……

待ってて、だって。


彼が部屋から出てくるまで、心臓がドキドキしていた。


とりあえずちょっとだけ仕事が残っていたから、それをやりながら蓮さんを待つ。



「おさきー」

「お疲れ様ですー」



< 280 / 469 >

この作品をシェア

pagetop