キープアウト!―亮二サイドストーリー―
どうやら、オレのことを覚えていたらしい。

「うん。盲腸だったんだ。本当にあの時は、ありがとう」

オレは笑顔で言った。

「いいえ。背中をさするぐらいしかできなくって」

「ううん。そんなことないよ」

「なら良かった」

寺原さんが笑顔になる。
可愛いなぁ。

「あの、お礼したいんだけど、ご飯でも行かない?」

お礼を口実にご飯に誘った。

「いいえ。いいです」

あっさり断られてしまった。

「どうして?」

「そいうつもりでやったわけじゃないですから」

「そっか…」

「気持ちだけで、十分です」
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