好きなんだ…。

入学式が終わり、それぞれの教室へと向かう。

秋斗と冬斗は同じクラスで
席も前と後ろで近かった。

「僕、兄さんと同じクラスでよかった」

「…そ…そうか」

秋斗は只今、睡魔と戦っていて負けそうになっ
ていた。

そこへ

「ねぇねぇ」

秋斗の隣にいた女子が話しかけてきた。

「ん…ん?」

秋斗は今にもマブタが閉じてしまいそうな顔を
して、
そこ子の方を向いた。

「二人って、苗字も同じだし、名前も似てるよ
ね。もしかして双子だったりする?」

秋斗はもう話を聞いていなくて、爆睡してい
た。

そんな秋斗にかわって冬斗が答えた。

「うん。僕達、二卵性の双子で
今爆睡している方が兄なんだ。」

「えっ!?うそっ!?私てっきり貴方の方がお
兄さんかと思ってた」

「アハハッあっ、そうだ。僕は"神嵜 冬斗"でこっちが"神嵜 秋斗"」

「冬斗くんと秋斗くんか。私は"尾形 蕾"。
よろしくね!」

蕾はニコッと笑った。

「…俺らのこと呼び捨てでいいぞ。」

爆睡しているはずの秋斗がそう言った。

「兄さん起きてるの?」

「……。」

聞こえてくるのはスースーという寝息だけ。

蕾はフフッと笑い、秋斗の近くに行き、

「私の事は蕾って呼んでね。あ・き・と」

と耳元で囁いた。

蕾と冬斗は二人で秋斗を起こさないように静か
な声で笑った。

そして三人は友達になった。

だが、今後起こりうる運命にまだ三人は気づい
てはいなかった。



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