口吸い【短編集】


私の席の横に膝立ちになる。意味がわからなくてはてなマークをたくさん浮かべた。

「こっち向いて」 そう言われたから、体を向けて彼を見下ろせばーーーーなんだなんだこの甘ったるい雰囲気は。



「愛してるよ、俺のスイートストロベリーパイ」

目が離せなくて、釘つけになるしかできなくて。

「貴方のお腹はこんなにもチャーミングなのですね」

熱っぽい視線を切り替えられそこには私のお腹だ。まさかまさかまさか。


「こんなにもかわいらしいから、キスしてしまいたくなるほどだ……」


そう言って、お腹に顔を沈めてきた。
胸のしたに体温を感じて沸点が一気に上がる。
鳥肌が立ち、 私はおもいっきり両足を振り上げた。

「ギャーーーーー!!!」

見事に彼の腹にクリーンヒットした。







「な、あんたというやつは!破廉恥か!」

彼は蹴られて痛そうに腹を押さえている。
罪悪感が沸かないでもないが、これは正当防衛だ!出てる腹を触ろうとするなんて!

「再現しただけだよ、イタタタタ」

「え!大丈夫?」

苦痛に歪め、彼は鞄とってと言った。


「誰かさんのせいで怪我したんだから、治るまで面倒見てよ」

その言葉にぎょっと目を向く。

「え?!は」

「痛いなー痛いのになーこれでほったらかすとか、非情な人間だな」






なんでこんなことに………!

毎日一緒に帰るようになって鞄持ち。

もう、ほんとに、ふざけんなよおおおお!!

初恋はこの福田というやつであることも認めたくない。






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