口吸い【短編集】



私は別に鶏ガラのような男でなければ、好みであれば誰でもいいなんてことはない。結局は、彼に恋をしていたのだ。最初は身体しか好きになれていなかったけれど。

恨むわよ、高校生。

頭の中に写真のようにばらまかれた無邪気な女。



少し辛いのよ。プールには彼がいて、どうしてすっきり泳げるというのだろう。ゴーグルにたまる塩素を薄めるようにひっそり泣いた。



咳が聞こえて、彼の明るい声が聞こえる中で私は泳ぎ続ける。何事もなかったように。




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