あの頃より きっと。
第四章

遠縁

彩穂は、風磨と登校していなかった。

なぜなら風磨は雷と登校しているからだった。


彩穂は中学生前半の時、

音楽を聴いて登校している風磨を見つけ声をかけたが、反応はなかった。

実は、朝は大好きな音楽を聴いて登校するというのが、

風磨の流儀だったのだ。

理由は、テンションを上げるため。

風磨はそう言った。

その理由を聞いた彩穂は、変なの、と笑ったが、

風磨は真剣に、大好きな音楽を聴いて歩く朝は俺にとって最高の時間なんだよ、と言った。


だから、風磨の最高の時間を邪魔したくはなかった。
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