あの頃より きっと。
「風磨……?!」





向こうから、風磨が歩いてくるのが見えたのだ。

それも、しっかりと目が合ったまま。

風磨の姿がだんだん近くなって、ついに目の前まで来た。





「びっくりした!超偶然…」





風磨はそう言いながら、驚いたように微笑む。

彩穂の、切なくて押しつぶされそうな想いは少しも知らない。

いつもなら嬉しいはずなのに、今は辛いだけだった。





「今日はごめん。一緒に帰るのも、バスケもできなくて」





彩穂は、息を飲み込んで涙をこらえた。
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