あの頃より きっと。





「あっ…彩穂?!」




その部員の声で、体育館に響いていたボールの音が消え去った。

そして、視線が彩穂に集中する。




「彩穂?!どーしたの?!」




次々に彩穂を心配する声が飛び交った。

肩を抱いたり背中を摩ったりしてくれている部員がいることが、彩穂にとっては今一番の支えになった。

そんなこんなで、彩穂のますます涙は止まらなく、結局顧問が彩穂を体育館の隅で休ませた。






壁に体重を預けて座り込んだ彩穂が体育館の出入り口を見たが、彼の姿はなかった。
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