あの頃より きっと。
風磨は、有無を言わさずに自転車のスピードを加速し風をきっていく。

その風が風磨の服をはらんで大きく広がった。

この人ほど風っていう漢字が似合う人いないよなぁ。

ねぇ風磨。今、どんな顔して自転車を走らせているの?

自転車は更に速くなり、ワックス未使用の自然な風磨の髪の毛が後ろに流れる。

くるんとした襟足が可愛らしい。その、なんというか――

自分もこの風に髪の毛をなびかせてみたいな、と思った。






あの夏は、髪の毛が短かった。



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