アシタのナミダ
ワスレラレナイ
入院してから1ヵ月、私は毎日のようにトキオの手を握り、ただ祈るばかりだった。






そして今日から始まったカウンセリング。





「お疲れ様。気分はどう?」





目を開けると、違和感を引きずる顔が私を見ていた。





「あまり………」





「そう。しばらく続くようだったら教えて。お薬出しますから」





彼女が差し出した手に引かれて、深くイスにもたれていた上半身を起こす。





まだ体が小声で痛みを漏らしていた。





「月極先生。私、病気ですか?」





突然の問いに精神科医は腰を屈めて、





「病気じゃないわ」





淡い茶色のガラス玉の瞳を真っ直ぐ覗かせる。





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