アシタのナミダ
その事を母に話すと、





「行きなさい」





ただ一言返されただけだった。




けれど何となくわかっていた。





落ち込んでいた私をみんなで励ましていたのだと。





何か目標があれば変わっていくだろうと。





そして私は、トキオに出逢った。





若間さんに紹介されて微笑む彼の全てが、私の心の隙間を埋めてくれたんだ。





「君が……長谷部さん?」





大学一年の夏、学祭に向けた練習メニューの発声が終わり、読み合わせに呼ばれていた坂木教授が私を呼び止めた。





彼は若間さんのいるゼミの担当で、学祭で使った台本の元になる物語を書いたヒトだった。





「はい。長谷部珠里絵です」





階段教室はあちこちで打ち合せをするサークルの学生で溢れていたが、私と坂木教授を見ていたのは若間さんだけだった。




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