アシタのナミダ
私の誕生日
まだ夏の日差しが肌を焦がす、8月18日。





私の誕生日。





「おめでとうございます」





無愛想な役所の職員に、婚姻届を出した。





そしてそのままトキオの眠る病院へと向かう。





個室に移されても人工呼吸器が外されない彼の手を握ると、モニターに映される数値と同じように弱く脈打つのがわかった。





僅かでもいい。





今この指を動かしてくれたら、それだけで私は救われる。





だから、





「トキオ。起きて―――」





強く握る手の鼓動が、さらに弱くなっていた。




「トキオ、苦しいの?」





まるで頷くようにアラームが鳴り響く。





「私が今、外してあげるから」





挿管チューブを口から抜くと、トキオの表情が楽になった気がした。






「私達は、今日から夫婦だよ」





そんな優しい寝顔のトキオに、キスをする。





「トキオ、愛してる」





そこからの記憶は曖昧で、よく憶えていない。





ただ、アラームを聞きつけたナースが主治医の栄川先生を呼んで慌ただしくしているのを、ぼんやりと眺めていた。




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