私が立ち上がらなかった理由
「あなたが残念な気持ちになりますよ、きっと。」

にっこり微笑んだまま私は言った。

「ならないでしょ!俺明日菜ちゃんのこと好きだもん。」

心の中の冷めた私が鼻で笑う。

「はやくそのへんの子捕まえにいってくださいよ。」

流と名乗ったそいつに向かって、私は目の前の空間を手でさした。

「え~、かわいい子いないもん。断然明日菜ちゃんがいいもん。」

流と名乗ったそいつがぶつぶつ言う。

「わかった。」

そういって私の顔をまたのぞき込んできた。

「何ですか?」

笑顔のまま聞く。

「勝負しよ!」

「はい?何の?」

絶対馬鹿だ。

「そんなん、魔法の勝負に決まってるじゃん!呪いが勝つか魔法が勝つか。」


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