見習い天使と勇者たち

「デルタ姉!イマ様!」

ナーザはきちんとお辞儀すると、王座へと近寄った。

「ナーザ、来たわね」

「ちゃんとイマの話聞くのよー?」

「うん!」

イマはナーザが頷くのを確認すると、早速話を始めた。

「見習い天使ナーザ、ミレリィアを知ってるかしら?」

「知ってます!えと…"力ヲ有スル者"がいっぱいいるって世界ですよね!」

「そうよ。貴女は見習い天使の中でも優秀だから、偵察をお願いしようと思ってるの。どうかしら?」

「行く行く!!行きます!!えと、具体的に何を?」

「"力ヲ有スル者"がどれだけ進化しているのかと、"下界ノ者"の生存確認。あっ、それと身の危険を感じたらすぐ帰還する事!」

「まだ生きてる人いるかな?まぁ頑張ってきますね!」

やったー♪と、見習い天使としては大きな仕事を貰えたナーザは、嬉しくてピョンピョンと跳ねていた。

「ナーザ、髪結べば?」

「嫌だね!んじゃ、行って来まーす♪」

ナーザはデルタの話を聞き流し、下界へ通じる扉へと走って行った。


「大丈夫かしら…。まだ12歳でしょ?うーん、心配…」

「大丈夫よ、私の妹だし」

「デルタが言ったら、説得力あるわね」

二人は、ナーザが走っていった方をずっと見つめていた。
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