☆空色の傘☆【完】


そして、7月31日の夜、蒼と最終チェックを電話でする。


遠足前のガキのように、バクバクしていて今夜は眠れないかも…


「私…今夜は眠れないかも~」


「えっ?」


まさに、同じことを口にする蒼に驚いて、そして「俺も…」と素直に伝える。


電話越しに『ふふっ』と笑いあう。


こんな、満ち足りた日常の幸福がほんとに嬉しいと感じた瞬間だった。


☆☆☆


早朝五時半、ようやく動き出した始発にのり、バス乗り場へむかう。


今回は親の手をなるべく借りずに頑張ろうと決めて、時刻や場所調べに始まり持ち物や向こうでの遊びの予約まで、二人でやった。


二人の距離がさらに近く、深くなったのを感じた。


☆☆☆


高速バスに乗り約四時間。


涼しい風と爽やかな陽射しの降り注ぐホテル前、手を繋ぎ合い、いざ、フロントへ。


まだ、本来のチェックインタイムではないので、荷物だけ預けて、まずはランチをする店へ。


ホテルに程近いショッピング街の中に見つけたその店は、小綺麗なビストロって風。


観光地らしく、リーズナブルで美味しくて俺らは大満足。


次に、向かったのはリフト乗り場。


山の上まで行って綺麗な自然の景色を眺める。


色彩や自然が、俺にも蒼にも刺激になり、インスピレーションが溢れてきた。



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