空色の瞳にキスを。

2.差し延べた手

アズキとトーヤの両親は、子供を国が雇う首狩りに連れ去られた今でも1週間に一度、アズキの家に集まっていた。


外は綺麗な青い空が見えても、4人の気持ちは上がらない。



もちろんそれは、いるべき二人がいないから。

愛する娘と息子がいないから。


「サヨさん、カルヤさん…何か収穫は…?」

トーヤの両親は力なく首を振る。

「首狩りの二人の名前だって偽名だったし、どこに連れていかれたかも分からない。」

父親のカルヤがやりきれない様子で言う。

「そう…。」

カルヤの話を聞いてエリもため息と同時に相づちのように口にする。



「…私のせいだな…。

私があんなに暴走しないで、ナイフを投げなかったらな…。」

ナナセが出ていってから、ひとまわり、ふたまわりも痩せてしまったコルタがうなだれて呟く。


いつも、コルタのこの呟きでだれも何も言えなくなり、意見交換会は幕を閉じるのだ。



今日も一緒だと思っていた、その時。


控えめなノックの音がソライの家に響いた。


コルタが玄関へ行き扉をおそるおそる開ける。


すると見えたのは、見慣れぬ軍服を来た黒髪の見知らぬ少年少女。

「…ッ!軍隊なら帰ってください…!」


僅かに目を丸くした少女に、コルタは捲し立てる。


「娘達を盗っていったのは、あなたたちの雇う首狩りじゃないですか…!

何故なにもしていない娘達が…!」

少年少女の軍服に見える衣装を見て、アズキの父は小さな声で怒鳴る。


その姿を少女の黒の瞳が真っ直ぐに捉える。

またなにかを発しようとしたコルタの唇は、どこか見覚えのある切ない視線によって閉じてしまう。

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