Hurly-Burly 4【完】

いつまでも、ウジウジしてたくない。

割りきって戦うしかない。

嫌だって言ってもしょうがない。

あたしがやらなきゃ家が壊される。

それなら、迷ってる暇なんてない。

とことん戦ってやるわ。

あの、秘書にだって怖がったりしない。

あたしは1人じゃ無い。

母さんだって、父さんだって、お兄ちゃんだって、

兄ちゃんだって、大和さんだって付いてる。

大体、秘書に何が出来るんだ!

じいちゃんの差金だったとしても、

あたしは絶対にそんなものに屈したりしない。

「ヒヨリン、やっぱり何かあったのか?」

ボーッとしてたせいかユウヤに視線を

向けられてドキリと心臓が音を立てる。

「何もないよ。」

あたしとみんなとではやっぱり世界が違う。

どんなに近くに居ても同じ世界に入れない。

それが多分距離っていうやつなんだろう。

みんながこっちに来るなって思ってること

なんてお見通しで、本心はあたしを仲間だと

思ってないのかもしれない。

「そうか?」

だけど、今になると分かるんだ。

あたしもある程度距離が欲しくなった。

平行線の思いは絶対に交差しない。

一ノ瀬がどれだけ大きな名前か背負わされる

その重みにみんなを巻き込むわけにはいかなくなった。

継ぐと決めた思いが、また一段と強くなった。

それはつまり必ず別れが訪れることを知らせる。

その時が来たら迷惑をかけない内にこっそりと居なくなろう。

一ノ瀬は大きすぎるからあたしの手にも余る。

心の準備がある分、別れは辛くならない。

あるんだって考えれば必要以上に関わらなくていい。

「うん、あ、ユウヤ。あたし、本と毛糸買うんだ。

だから、先に帰っていいよ。」

例え、それが予想外に起こっても迷わないように

強く残してあたしの宝物にする。

どんなに辛いことがあってもきっと乗り越えられる

力になるはずだから。

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