Hurly-Burly 4【完】
非常階段を降りると囲ってたものがなくなって、
ひゅるりと冷たい風が肌を襲った。
スカートがひらりと靡くがさすが毛糸パンツ。
ぬくぬくと風から守っていただいている。
「ヒヨリン、何のことだよ?」
「ま、まだしらばくれる気か!?」
「だから、意味分かんねぇって!!」
よっちゃんのアフロが風の影響を受けて
更にぺちゃんこになったように見える。
「美男、ひーちゃんはお前が元気ないから
心配してんだ。」
もっくんが、あたしの言葉をアテンドする。
「最近、元気ねぇし、いつもの奴らも心配
して気にしてんぞ。」
ももっちが更に付け加えてくれる。
「お、俺は別に普通だろ。」
「よっちゃん、何があったの?」
手遅れになる前に教えて。
「・・・だから、俺は別に・・・はぁ。」
ため息を吐き、諦めたように目を伏せる
よっちゃんに内心すごく不安がいっぱいだった。
あたしに力になれることだったらいいけど、
もしも予想以上の大きい問題だったら何て
言葉をかけたら正しいのか。
慰められるような言葉をかけてあげられるのか。
曇が広がる空は灰色の姿で雨の匂いがした。
よっちゃんの心を写したかのような空に、
緊張が走る瞬間だった。
よっちゃんのケータイに着信が入った。
バイブが震えてポケットが振動で微かに
動いて、それを見たよっちゃんの顔が
不安そうに眉を寄せた。
「よっちゃん、メール着てるよ?」
「お、おうっ。」
「どうしたの?見ないの?早く返信して
あげないと相手の子待っちゃうんじゃない?」
誰か不良メンバーズがよっちゃんに励ましの
メールでも打ってきたんだろうなって思ってた。
でも、明らかによっちゃんの様子が可笑しい。
強ばったような情けなく眉を下げたような、
とにかく、あたしにはSOSを送っているように
見えてしょうがなかった。