カタナ
カタナのはじまり
「逃げんなよ。」

暗くなりかけの空。

すでに暗くなった廃工場。


夕日に照らされる、あたしの顔。



同じく夕日に照らされる、男の顔。
その顔はひどく怯えている。


「や、やめてくれ。頼む。み、見逃してくれよッ。」





見逃すなど、してやるものか。

あたしから逃げられると思うな。

あたしに目ぇつけられたら最後、無事に帰されると思うな。





あたしはそっと木刀を持ちあげた。

「ひッ!」っと、小さな悲鳴が聞こえた。が、そんなのどうでもいい。


その直後、ガンッとモノとモノがぶつかり合う音が響いた。


薄暗い、廃工場に。


何度も、何度も。


.
.
.
.
気づけば夜。

良くは見えないが、足元には原形をとどめていない男の顔がある。



「ハッアハハハハハハハ!!!!!ざまぁみろッ!!」
< 1 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop