わたしは彼を殺した、そして彼に殺される
わたしは大きく首を左右に振る。

「そんなことない。わたしは今も、あなたが好きなの!」

「死人を好きって…この世にいない人間はみんな、そのうち忘れられていくだけさ」

彼は吐き捨てるように言った。

わたしは…

それは違うっ!

そう叫びたかった。

でも…

確かにこれから先、

ずっと、ひとりでは生きていけない。

彼の言うとおりなのかも。

反論できないわたしは…

彼につぶやいた。

「…じゃ、やっぱりわたしは死ねばいいんだね」
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