月とドーナツ【短編】
いつものように、お気に入りのドーナツを買って、公園の芝生に腰を下ろす僕達

僕が美味しそうにドーナツを頬張る彼女を見ていると

ああ、何て可愛いんだ
僕もドーナツになりたいくらいだよと思ってしまう

なのに奴は勘違いな事を言うんだ

『おっ?コタロー、お前もドーナツ食いたいのか?』

いらねーよ

『ほら、俺のを分けてやる』

だから、いらねーって

『お前、ドーナツ好きだろ?はい、お手!』

つい手が出てしまう…




そして、やはりドーナツは美味い

『もう、タクローくんコタにあんまりあげちゃダメだからね』

彼女が心配顔で言う

『これくらい、食ってもどうにもならねぇって、ったく心配性だなぁ』

お前をどうにかしてやろうか?




そんな、バカな事を言ってる光景が当たり前だと思ってた

あの日までは…

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