赤い糸のその先は…。
剥がれた鉄仮面

そう、3年前にこんなやり取りをした事がある。


思い出した。


でも、目の前の人は・・・。



「あれ?顔が違うかも。整形しました?」


ぷっ、あはははは。


・・・課長が笑い出した。 鉄仮面が剥がれた?


「整形はしていないよ。 しいて言えば髪型が変わったぐらいかなぁ。

眼鏡は伊達だけどね。」


「えっ?でも、私が傘を貸したのは・・・こう目が吊り上っていて、

無愛想でいつも怖い顔をしてて笑うことがないような・・・」


当時を思い出しながら、自分の顔で真似をしてみた。


私のヘンな顔真似を見ながら、益々笑いにハマったみたいで、


課長はお腹を抱えだしていた。


まぁ、本当に本人だったら、私ってば失礼な事言ってるし、


馬鹿にしているみたいだよね。これって。


自分の記憶に自信が無くなって、だんだんと声が小さくなってしまった私に、


「そっかぁ、そんな風に見られてたんだぁ。」


ふぅーっと、課長がため息をついた。
< 34 / 238 >

この作品をシェア

pagetop