『ぱられる☆』
 一方その頃………


 向かいの神楽宅では二人の姉妹が大量のダンボール及び荷物と格闘していた。
 「お姉ぇ!私の制服とかはぁ?」
 侑香はダンボールの積まれた山から顔を出す。
 女子には珍しいウルフカット、一見、男の子にも見えなくない。
 「あら…、ユウちゃんの部屋に置いてあるはずよ。」
 姿は見えないが姉の声が聞こえた。
 時折り、陶器の触れ合う音がするので どうやら食器を整理しているに違いない。
 彼女の名前は神楽 心(かぐら こころ)
 栗色のロングヘアは艶があり上品な感じになっており、身長が高く家事全般を器用にこなし、優しさと愛の化身と言っても過言ではない。
 「ふぅ、今日までには無理そうね……」
 この忙しさを楽しむ様な笑顔である。

 その妹、眞一郎の幼なじみである 神楽 有香(かぐら ゆうか)
 姉とは性格の全く異なる彼女。どちらかといえば負けず嫌い。

 イギリスで家族四人で暮らしてきたが、父親の仕事がもうすぐ終わるというので「どうせ帰ってくるなら、学校は新学期から転校した方が良いだろう」ということで両親よりも早く日本に帰国してきた。
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