お姫様に花束を
はじまりは突然で
リオンside


店を出る頃にはすっかり空は暗くなっていた。

当たり前だ。

もうすぐ夜が明けようとしているんだから。


「はぁ……」


疲労からため息が漏れ、凝った肩をほぐすように回す。


ここはコアブル王国にある至って普通の街。


俺はそこで大学に通いながらバーでバイトをしている。


今は夏休みなので、結構遅くまで働いている。


……それにしても疲れた。


バーから比較的近い場所に一人暮らしをしているアパートがあり、いつも徒歩でここまで通っている。


今度から自転車で来るか……。

そしたら早く家に帰れる。


そんなことを思いながら、俺はいつもと同じ帰り道を歩いていた。

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