お姫様に花束を

「リオン、リオン!」

「ん?……ぅおっ!」


名前を呼ばれて振り向いた瞬間、勢いよく水をかけられた。


「さっき笑ったからお返しー」

「……分かった。
そっちがその気なら……」

「え?……きゃっ!」


俺はさっきのお返しとばかりにカノンに水をかける。

カノンの綺麗な髪から水が滴り落ちる。


「ちょっと、かけすぎ!」

「ははっ!お返しだ」

「もー……。
……えいっ!」

「ちょっ……カノン!」


まるで子供のようにお互いに水をかけあう。

たったそれだけなのに、なぜかとても楽しくて。

なぜかこの時間がすごく大切に思えて……。

カノンの存在が俺の中で更に大きくなりつつあると改めて感じた。

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