お姫様に花束を
カノンside


「カノン様、紅茶をお持ち致しました」

「ありがとう」


ウェルスは手際よく紅茶を淹れていく。

それを見ながら考えるのは今日のこと。


「ね……ウェルス。
明日は……」

「明日は公務があります。
そして、その後は親戚の方々との夕食会がございます」

「……そう」


私はそれを聞いて小さくため息をついた。


「いかがなさいました?」

「私……あの人達、苦手」

「えぇ、存じております」


ウェルスは特に表情を変えずにそう言った。


「あの人達は私が王位を譲ればいいと思ってる。
……私がいなくなればいいと思ってる」

「……カノン様」

「……否定しないんだ」

「……残念ながら、私もあの方々の態度はそのようにしか見えませんので」


私はウェルスを見てクスッと小さく笑った。


「相変わらず正直ね」

「それが取り柄でございます。
それはカノン様が一番よくお分かりでは?」

「……そうね。
ウェルスとは私が生まれてからの仲だから……」


ウェルスは私の教育係兼執事。

私が生まれた時からいつもそばにいてくれている。


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