ぬくもりをもう一度
―――分かってない、だと?


野々原のその言葉が引っかかり、

携帯電話をそのままに

俺は必死に辺りを見回し始めた。


「野々原! お前……、

 なんでここにいるんだよ」


店の一番奥の隅っこの席に、

にんまりと笑みを浮かべて

コーヒーを楽しんでいる野々原が、

俺に向かって

ヒラヒラと手を振っている。








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