ぬくもりをもう一度
潤んだ瞳で俺を真っ直ぐに

見つめる香澄が愛しくて愛しくて、

身体を引き寄せた。


すっぽりと腕の中におさまった

香澄のぬくもりを、

俺は全身で感じていた。


「俺ともう一度、

 付き合ってくれないか」


香澄の耳元でそうっと囁く。


その声に香澄が小さく

「うん」とだけこたえた。


大切な人を、

もう離したりなんかしない―――。


そう心に決めて、

俺たちはゆっくりと唇を重ねた。





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