冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】

追いかけたかった。


こんな時だから、
一番近くにいたかった。



だって、

約束した。



〝一緒に行こう〟


そう、

約束した。




なのに…

「……っく、うっく…」


何も出来ない自分が悔しくて、

何も出来ない自分に腹が立って、


強く、
唇を噛み締めて

強く、
掌を握りしめて



私は声を殺して泣いた。




< 16 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop