冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「ーー…ん、…織ちゃん。実織ちゃん!」
ガッ、
と、力強く掴まれた腕の感触と
呼ばれた名で、
ハッとなった。
白く濁っていた思考と視界が
覚める。
「よく頑張ったね、実織ちゃん」
ふわ、
優しく大きな掌が私の髪を撫でた。
柔らかい声が
私の名を呼び、
ツンとした消毒の匂いがして
見覚えのある明るい色の長めの髪が、
視界に入った。
「…吉……水、さ…」
意識せずに目の前の人の名が零れると、
一気に気が抜けた。