冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
優しく触れられた両手の力を緩めると、


途端に

紅い両手が、震えた。




前にも、

こんなことがあった。



震える紅い掌を
握りしめたことがーー。





「…あ……あぁ…」


紅く震える両手を目の前で眺め、
情けない声が零れる。



知らずに、

私は夕綺さんの傷口を強く押して、止血していた。



ううん、
きっと、違う。

きっと、

怖くて
怖くて


どうしたらいいのかわからなくて

どうしようもなくて



ただ、

しがみついていただけ。


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