赤い月 肆

(俺ってば、シアワセ者。)


景時は少しだけ、いつもの軽い微笑みを浮かべて言った。


「いやー…
言いたいのはやまやまなんだケド、ね。」


「ヘタなコト言えねぇンだよ。
うさぎサマは俺らと違うからな。」


ゴツい腕でテーブルに頬杖をついて景時の言葉を継いだ小山薫(コヤマカオル)は、情けなさそうに傷で分断された眉を下げた。

いやいや、その通りデスガ。

ナニ言い出す気?


「ちょ… 薫」


「今更だろ?
こいつらだって、そこそこわかってンだから。」


あーうー…
ソーデスネ。

小鞠はうさぎがオニだと知っている。

大吾と祥子はとんでもない誤解をしているようだが、うさぎが普通のヒトではないことはわかっている。

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