赤い月 肆

『私もお店終わって、部屋でシャワー浴びてゆっくりしてたの。
ねぇ… 今から来ない?』


ハイ、予想通りのお誘い、イタダキマシタ。

二人は、所謂そーゆー関係。
景時が深雪にフラレた後も、ずっと。

景時は深雪が好きだった。

甘えんぼで、危なっかしくて、誰かが傍にいないと崩れていきそうな脆い人。

その『誰か』になりたいと思っていた。
彼女を支えてやりたかった。

なのにある日突然、フラレた。

理由は未だにわからない。

彼女の考えがサッパリわからず落ち込んだりもしたが、止めようとは思わなかった。

追いかけたりはしなかった。

彼女が他の誰かを見つけて幸せになるのなら、それもイイと思った。

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