玄太、故郷へ帰る



「大丈夫よ」


と、玄太は自信満々に言う。


「親子なんて、大丈夫なんよ。結局、親ってのは、子供の事は、何でもかんでも受け入れるしかないんよ。そうゆう風にできてんだからさ。最後にはね、そうなるんよ」


……ああ。
玄太のくせに、説得力があるのだから困る。
そうなのだ。
この子は、こんな幼い顔をして、もう父親になる気なのだから。
だから、大丈夫なんだろう。
私にはまだその理屈は、実感としてはわからないのだけれど。


「言いくるめるよ、父さんの事も。僕、得意だからね」


言いくるめる……
何だかその表現はあんまり好ましくないけれど、玄太ならばきっと、いつかはそうするのだろう。
父の怒りに屈しないのは、いつもこの家では玄太だけだったのだから。


「まあ、頑張んなさいよ」


私は思い出した様に、視線を弁当に落とす。
それから、きんぴらを少し口に入れた。


「まかしといて」


そう言ってニヤリと笑う玄太は、やっぱり頼もしい。



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