野球嫌いなあたしと、先輩。
「……はっ!お前…っ。そこだけってなんだよ」


一瞬だけ見えた笑顔に、今度はあたしが驚く。


「だ、だって!元はと言えばアンタが悪いんじゃん!智にしたことは許してないから」


「つーか、だいたいお前敬語ぐらい使えよな」


そう言ってまた、少しだけ笑った気がした。


なんだ……そんな柔らかい顔もできるんだ。

そういえば、怒ったような顔しか見たことなかったかも。


つい目線を反らしたら、他の先輩達があたしを睨んでるのに気が付いた。

もちろん、女の先輩ばっか。


……めんどくさいのはごめんだ。


「何であたしがアンタに敬語使わなきゃなんないの?敬語ってのは、尊敬できる人に使うものでしょ?」


つまり。


「アンタのことが大嫌いなのは、きっとこれからも変わらないから」
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