野球嫌いなあたしと、先輩。
「智悪い。誠二郎と話させて」


ベンチにやってきたのは、同い年の猛。

智は軽く頭を下げて出て行った。


「さっきの子が止めてなかったら、俺がお前を止めてた。誠さ……いい加減にしろよ?」


猛の言いたいこと、なんとなくは分かってるつもり。

けど、俺もどうしたらいいか分かんねーんだよ。


だってもう、憧れた一輝さんはいない。


いくら一個上の先輩らが甲子園に行ったって言っても、主力メンバーはごっそり抜けたし、希望なんかない。


甲子園に行けないって分かってるのに、このまま野球してて意味あんの?

他の生徒みたいに、勉強してる方が未来に希望が持てそうだ。
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